画が自分の内面に深く刻み込まれ、忘れられない画家、です。
私にとり、他にこんな画家はいません。
最近は多くの画を見るようになりましたが、
感動する画や、画家は、決して多くないです。
そんな中、戸嶋康昌には、本当にしびれます。
写実画、ではあるのですが、心に刺さる画、です。
肖像画なら、人間の内面、オーラのようなものが描かれている
と感じざるを得ない。
そして、風景画、静物画にも、対象はモノでしかないのに
精神性を深く感じます。見えている以上のものを描いている写実画です。
例えば、スペイングラナダの絵は、街の悲哀の歴史を表す景色、なのです。
スペイン人がアラブ人を追い出すレコンキスタの舞台となった街、に
彼は居を構えます。アルハンブラ宮殿のある街です。
「(画に)時間が出ないとダメなんだよ」 本人の言葉です。
人や街や生き物、の時間の経過、歴史のことです。
近くで見ると、雑に描いているようで、
離れて観ると、深い森に差し込む光や陰影までも
明瞭に描かれています。
すぐそばで見ても、よく分かりません。
目の前30~50㎝では、分からない。
画からだいぶ距離を取ると、急におーっ、と
何が描かれているかハッキリする。
3mの場合もあれば、5m以上離れて、やっと見えてくる絵も。
塑像も作り、音楽も好きで、まさに右脳人間。
非常に気骨溢れる性格で、無頼漢だったようです。
自身の絵は皆完成してない、と持ち続け、死後800点以上が
出てきたそう。まだ書き加えるつもりだったらしい。
だからサインが無い。絵は世に一切出回っていない。
作品については、著作権もあるためサイトにアップしません。
ご興味ある方、麹町の戸嶋康昌記念館分館まで。
コレクター執行草舟氏により無料公開されています。
要電話予約。