経てきた時間、に趣を感じる。
湾岸再開発で春までに取り壊される近所の古い倉庫が、
急にいとおしく見える。最新の物流施設と比べても
実に個性的で面白い。
もう二度と見ることのない、産業遺産だ。
仕事柄、最新のオフィス、商業施設をオープン前に
何百も見学してきた。
真新しいものを多く見て感じていたことは、退屈さだ。
不動産屋の小細工も、ワンパターン。
私の好きな画家、戸嶋康昌曰く、
「画にも(対象の)時間がでないとダメなんだ」
人物画なら生き様、街ならその歴史が画に現れないと
ダメだ、ということ。戸嶋の画は私を捉えて離さない。
「経た時間が、個性をつくる」 からだと思う。
それこそが、対象の魅力だからだ。