日経が日本市場のPBRの低さを低ROEのせいだ、と
本日記事21面で嘆いている。
PBR=株価/1株当純資産 :資産価値からみた株のバリュエーション指標
ROE=純利益/純資産 :資本効率を表す財務指標)
私には、ポイントは以下のように見える。
1淘汰の必要な昭和型日本企業
ROEの分布では、日本企業の2/3は、
株主資本コスト(≒株の投資家の要求リターン)8%
を越えている。
日本に残る8%以下の1/3の企業のような海外企業は、すでに淘汰済なのだ。
重厚長大産業や、Web時代に合わせたビジネスモデルの転換ができない企業などだ。
日本に必要なのは、再編・淘汰だろう。
産業間の労働移動も進めば、人手不足も解消しようが、それは簡単ではない。
2安い日本株、高い米株
記事はPBRの国際比較で、株価が見劣りするのはROEのせい、とする。
日本1.2倍
NASDAQ4.4倍
独1.6倍
英1.7倍
しかし、私が感じるのは、アメリカ株が高い、ということだ。
米市場全体を表すS&P500指数の長期PBR推移の画をご覧あれ。
2000年頃の異常なITバブル期を除けば、
リーマンショック前の3倍の水準を2018年には上抜け、
20年来の高水準だ。
ハードの資産を増やさず情報で高収益を挙げるGAFAのような
大企業が台頭したため、純資産はあまり増やさず
利益が増え、米PBRを押し上げたのだろうが、一方で
アメリカ市場だけが自社株買いが異常だ、という側面も
あると思う。
市場が大転換したら、世界景気が本当に後退局面に
突入したら、下落幅が大きくなるのは間違いなく米株だろう。
一方で、日本株は、相対的に下値が小さいだろう。
市場のPBRは、よほどのことがあっても0.8倍を
下回り長期推移することはまず無い。
世界の景気後退の後は、淘汰も進むので日本株の時代だと思う。