米長期金利が足元急低下している。
その割に、ドル円は円が強いがそれほどでもない。
また、米株価は金融相場で上値を追うかというと
そうならない。昨日は急落だ。
逆に言えば、他のマーケットと比べ、米長期金利が下げ過ぎて
いるように見える。米長期債が買われ過ぎている。
FOMCの利下げを先の先まで織込んでいるのか、あるいは
米景気が急激に悪化することを見越しているのか。
そうだとすればやや不安でもあるが、私は今の所、
これは米債券市場の需給のせいだと考えている。
世界の投資家にとり、他に買えるものが無いからではないか。
質への逃避、で米債に世界中の余剰資金、緩和マネーが
集中しているせいではないか。
昨日、ついに欧州時間(19時前頃)に、
米2年債と10年債で2007年来初の長短逆転が生じた。
10年債が18時過ぎから大きく低下したからだが、
おそらく当コラムで指摘した通り、
ドイツ4-6月GDPのマイナス成長発表が影響したようだ。
つまり、欧州勢が、大挙して米国債を買った可能性がある。
欧には今、金利の付くまともな債券が無い(笑)。
米10年債位しか買うものが無いのだろう。
しかし、足元の展開で不安なのは、この金利低下を、
米の景況見通しの急悪化の反映、と捉える投資家が増えて
しまわないか、という点だ。
この長期金利低下自体が、マインドを冷やさないか、ということだ。
長短逆転=景気後退のサイン、が2年ー10年債間でも点灯すると
米株の投資家は肝を冷やす。
米ではまだ景気が悪くないのに、需給で下げた金利を見て、
債券マーケットが厳しい将来を予見している、と投資家が
先行きを悲観してしまうことにならないか、ということだ。
投資家が自分の影に怯えて株を売る、的なことだ。
全ては、世の中にリスクマネーが余り過ぎていることが問題なのだ。
余剰マネーに振り回される機会は、今後間違いなく増える。
また、リスクマネーが余り過ぎている本当の弊害とは、
こういうことなのかもしれない。
悪くない経済を、市場の力が壊す、等のことだ。
投資家の頭に単純に
「長短逆転=景気後退」と刷り込まれているのも
良くないことかもしれない。
余剰マネーはマインドの力を極限まで大きくする。