20日の日経夕刊1面、ご覧の方も多いと思う。
米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは19日、「株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組むと宣言した。
記事には『株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国型の資本主義にとって大きな転換点となる。』とある。
本当なのか?
この考え方が今後米企業に浸透するなら一大事、といっていい。
米企業の経営は株価至上主義、株主至上主義、短期業績主義、だった。
だから、大量に借金までして自社株を買い上げてきた。
その基本的考え方を転換させる、という声明のようだ。
相対的に軽視されてきた従業員、地域社会の利益を尊重し、長期的・全体的な企業価値向上に取り組む、とのことだ。
グラフにある通り、米では株主還元に大量の資金が回る一方で労働分配率(企業の稼ぎのうち給料に回る割合)が低下したまま改善していない。
なんと、異常な株主偏重の経営姿勢を自ら修正する力が米企業にあるとは思わなかった。
健全な姿勢への回帰、は結構だと思う。利益追求より社会貢献重視、という若いミレニアル世代の考え方も反映されているらしい。
だが、これが米企業に広く浸透すると、中長期的には株式市場に大きく影響を与えそうだ。
私がさんざん指摘してきた異常な(無駄な)巨額自社株買いが、今後大きく減少するかもしれない。そうなれば、巨額なだけに影響は大きい。株価は今の水準を維持できなくなる。
膨らまし過ぎたものは、いずれ元に戻ることになるが、今回は米企業が自らその役割を果たすのか。健全な姿勢への回帰、は場合によっては非常に高く付くはずだ。