建物好きの私は、美術館が好きです。
日本一の美術館といえば、私が選ぶと上野の国立西洋美術館です。
近代絵画の収蔵品では、倉敷の大原美術館も凄いですし、あと、閉館中のブリヂストン美術館と双璧をなす日本一のレベルだと思います。
でも建物としては、世界遺産でもあるし、コルビュジェ設計の日本唯一の建物でもある国立西洋美術館が、やはり一番でしょうか。私はコルビュジェ好きでもあるので。
1階19世紀ホール(上写真)から2階へ上がるスロープがいかにもコルビュジェらしい。あのスロープは住宅建築でもサヴォア邸、ラロッシュ=ジャンヌレ邸等個人宅でも用いられています。個人宅にスロープなど、日本ではまずないですよね。また、手すりの高さ、幅などに、モデュロール、採寸の心地よさ、を探したりします。
2階の自然光を採り入れる作りも、さすがコルビュジェです。採光をとても大切にしているコルビュジェの気持ちが分かります。
弟子の前川國男は、隣の東京都美術館や、山梨県立美術館(ミレー「種まく人」所有)を設計していますが、絵を守ることばかり考えたのか、弟子なのに自然光の採光を考えてくれていません。とても残念です。
絵は、自然光で観ないと本当の色が分かりません。非常に大切なことです。
近年の美術館はかなりその点が意識されています。
例えば歴史あるベルギー王立美術館でも、新たな改築の部分では自然光を採り入れた部屋が
出来ていて、そこでブリューゲル、ルーベンスを見ることができました。
まあ、庭の根津美術館、建物の国立新美術館、細長くユニークな千葉のホキ美術館、など、素晴らしい美術館は山ほどあります。私はまだまだ行けていません。世界中の美術館を巡りたいです。
さて、今国立西洋美術館で、松方コレクション展が9/23まで開催中です。
川重の経営者、松方幸次郎が集めた世界的なコレクションで、戦時中フランスに避難させていたのを、戦後日本に戻す際、散逸を防ぐため、フランス政府が美術館の設立を条件として
要望したことを受けて、国立西洋美術館が建てられたのです。
しかしそれでもなお、いくつかの絵はフランス政府が戻すのを拒みました。今オルセーなどにあります。それほどのコレクションです。
一生に一度は、見ておいて損はないコレクションです。
しかし、既に美術館は多少混んでいます。あと地下の展示室は、少々狭くやや見づらい。
実はこのコレクションの一部は、500円の常設展で普段いつでも見ることができます。
当コレクションは当美術館の持ち物なので。
私も何度もこの常設展に行っています。
この常設展示は、企画展と違いあまり混んでいません。
最高の絵を落ち着いてみることができ、安い。
これほど素晴らしい常設展は滅多にありません。
混んでいるコレクション展の終了後、常設展に行くのも手ですよ。
あ、ただこの表紙のモネなどは、常設展では見たことがありません。
今コレクション展でしか見られない作品もあるはずなので、
それを見たい方は、混雑を多少覚悟の上、どうぞ。