債権国と債務国、日本はどちら？アメリカはどちら？
なぜこんなことを問うのでしょう。
為替相場を考える際の根本事象、だからです。もの凄く大切なことです。
世界の金融市場がリスクオフの時、円はどうなりますか？いつも円高になりますね。それはなぜですか。
日本が債権国だからです。では債権国、債務国とはどんな国のこと？
貿易収支等の対外収支、その過去からの累積が黒字なら対外債権、赤字なら対外債務です。債権国とは過去の黒字が多く累積した国、債務国とは赤字が多く累積した国。
日本は世界一の債権国です。 ご存じ？
日本は財政は大赤字ですが、以前から貿易で黒字を稼いできたので、対外債権は300兆円に達し、世界一の債権国です。だから、世界の金融市場でリスクが高まると資金が円へ避難するのです。相対的には最も安全とされるからです。
ではアメリカは？
大債務国です。1000兆円を越える対外債務を抱える債務国。
ではなぜドルは暴落しないか。世界の基軸通貨だからです。世界通貨とも呼ぶべき存在で、要するに世界一信用があるからです。でもただそれだけのことです。
だから、アメリカで大きなリスクが発生し米株が暴落したりすると、ドルは急落することがあります。株・債券・ドルのトリプル安、というのを聞いたことがあるでしょう、例えばそれがこのことです。
国家の信認が大きく低下すれば、本来の債務国の姿が表面化し、アメリカから資金が逃避することは、過去もありました。
アメリカの貿易赤字は近年さらに拡大（前図）。対外債務は蓄積し続けています。
上図はアメリカの財政赤字。こちらも日本と同様増えています。（画：日経）
この2つの画を見ると、米大統領が、そしてFRB議長も、株価を下げないよう最大限、政策的に配慮する理由がよく分かります。大赤字国アメリカとって、株価の暴落は即、国家の致命傷となり得るからです。