コロナは常識を変える。価値観を変える。
価値があると思っていたものが、無くなる。
逆に価値が見直されたりもする。
富士通は3年をめどにオフィスを半減させる意向との報道だ(日経)。
富士通とそのグループ企業は、オフィスリートのテナントでもよく見る名前だ。
企業は在宅勤務やリモートワークを浸透させ、コロナを避け、重い固定費の家賃を下げる。
テナントにとっては一石二鳥、一方オフィスオーナーには
ストレートに厳しい時代となる。
当サイトにアップしている証券新聞連載の前回
6/5号「常識が変わる、Jリート」
の回で指摘した通りだ。参照されたい。
不動産の価格、私の定義は
「人を集める力を数値化したもの」だ。
都心駅近が最も高い、が常識だった。
しかし、コロナリスクは、人が集まる所が最も顕著だ。
人が集まりそうな所が、今後は最も避けられる所になるかもしれない。
仮にコロナが収束しても、仕事のリモート化のトレンドは変わらないだろう。
企業のコスト削減につながるからだ。
オフィス賃貸市場で今後起こることは、
「全体として空室が増える」ことに加え、
「単価の高い物件ほど、賃料相場の下落率が今後大きくなる」
のではないか。
丸の内の地所、そして渋谷大開発の東急G、港区の森ビル森トラスト、などなど。
三井不は育ててきた商業でも今後苦しむだろう。
一等地の人気オフィスは企業にとって
”ステイタス” ➡ ”リスク” に変わりうる。
常識が正反対に変わる。青天の霹靂。
単純に建てて入れるだけの不動産業のビジネスモデルが大転換を迫られる。
Jリートにとっても大きな転換だ。
高額賃料のオフィスほど賃下げ圧力が強いだろう。
「高い・狭い・リスク」となりうるのだから。
本当に賃料の高額な優良物件はスポンサーが握り込み
リートにも売らない。今後最も影響が大きいのは
リートよりデベ(不動産会社)だろう。
リートの世界では、優良と思われていたオフィスリートほど、
影響が大きくなるかもしれない。
常識・価値観を変える変化が、どの程度
進行するか、具体的に評価するのは難しい。
オフィスは無くなるとは思わないが、どの程度減り
賃料がどこまで下がるか、はまだ見通せない。
郊外のオフィス物件などは、安い賃料を武器に今後
人気化するかもしれない。
新横浜、町田、府中、立川、埼玉・千葉物件、など。
コロナの行方も含め、不動産の新たな常識・価値観が
落ち着くまで見守るしかない。