以前から、米FRB、パウエル議長の金融緩和に前のめりなスタンスは、
少々気になっていた。
株価が下げるとすぐに反応し金融政策を大胆に変更してきた。
ただそれは、トランプに指摘され忖度している影響も大きいと思っていた。
しかし、議長をはじめFRBの基本スタンスは、かなり株価に甘い、との指摘を聞いた。
(三菱、FEDウォッチャー鈴木氏@モーニングサテライト、前表)
バブルに対するFRBの認識は以下。
「破裂するまでわからない。破裂したら金融政策で徹底的に対処」
これは私にとっては驚きだ。この甘い認識は耳にしたことが無かった。
事前に兆候を見極め対処すべきとのBISのスタンスとは正反対だ。
つまり、FRBはバブルを事前に食い止める政策は執らない、ということだ。
金融当局のあるべき認識とは思えない、と私は思う。
確かにバブルは破裂してはじめてバブルだったことが分かる。事前には分からない。
しかし、一旦破裂してしまったら、上手に対処など出来ないのもバブルの特徴だ。一瞬で崩壊し得る。1987年には1日でダウが20%下げた。歴史が示す通りだ。
例えば中国では人民銀行が、米中摩擦の本格化以前、不動産投機を抑制すべく、
事前に投資規制強化を実施してバブルのガス抜きをしてきた。
このような事前に動く金融当局、があるべき姿ではないのか。
このFRBのスタンスは、コロナ禍のような厳しい状況への対応、という条件が付けば
金融当局はバブルが弾けるまでいくらでも緩和を行う、と受け取れる。
というか、現にそうなっている。
3月23日に株価の暴落を防ぐためパウエル議長は「なんでもやる」と宣言している。
金利0、異常な量的緩和、信用緩和、フォワードガイダンス(時間)・・・。
前のめりに何でもやってきたせいで、今後さらに追加的に出来ること、打ち手を
失っているように、やはり思えてならない。
中央銀行は「最後の貸し手」だ。
銀行の銀行であり政府の銀行だ。
ここが、危機に対し打ち手を失うと、その後ろにはもう誰もいない。
米銀も米政府も信用を失う。
中央銀行は本来どんな時も絶対に打ち手を失ってはいけない存在なのだ。
例えば、もしこの冬コロナが大流行したら、FRBはさらに何ができるのか。
その気配は既にあるというのに。