「味は一代限り。」陳健一
中華の鉄人、四川料理の陳健一の父は
日本に四川料理、麻婆豆腐を紹介した陳建民大先生だ。
NHK「きょうの料理」の顔だった。
赤坂四川飯店の担々麺、100回は食べた。
私は健一世代で、鉄人の父、建民の味を知らない。
父の酸辣湯麺は、辛過ぎてむせてしまい、すすれなかったそうだ(笑)。
3代続くが、味は決して代々受け継がれてきたものだけではないらしい。
健一は父の味を、音で学んだという。
感性の人で、細かいことは教えてもらえなかったそうだ。
「ジュ―」でなく「ヂッ」だ、とか。
自分で学んだ健一は、息子にこの言葉を授けた。
自分で自分の味を作れ、ということだ。
味は教えられるものではない、ということでもあろう。
父に対する畏敬の念もあろう。
いい話だ。
モネは、「デッサンを教えることは出来るが、
色を教えることはできない」といった。
哲学者カントは
「哲学は教えられない。哲学を学ぶことしか教えられない」
と言ったらしい。
左脳で吸収できることと、右脳で繰り返し作り上げることの違い、
とでも言ったらよいだろうか。
運用でも一部あるような気もする。チャートの世界、などだ。
自分で感じ取るセンスを磨くしかない。多くの画を見よう。