米長期金利が上昇してなぜドル安なのか?
金利が上がれば通貨も高くなるのが普通なのに。
それは、
期待インフレ率(消費者物価上昇率)が米長期金利を上回る早さで
上昇しているからだ。
名目金利の米長期金利に対し、期待インフレ率を加味した実質金利が
(実質=名目ー期待インフレ率)
マイナス1%付近で低下を続けているからだ(図)。
では、
なぜ期待インフレ率が早く上昇するのか?ここがポイントだ。
既に2%にまで迫る勢いだ。(図)
ワクチンによる経済再開への期待、と説明されているようだが、それだけだろうか。
マネーが急激にバラまかれ過ぎていて、経済低迷のデフレ懸念を跳ね返すほどの
インフレ圧力が作用しているからではないか。米では現金給付も過剰だ。
失業者にもかなりのキャッシュが配られている。
また、バイデン政権は国の立て直しのため大量の国債発行を望んでいる。
需給悪で債券が売られることを見越し、悪い金利上昇の気配を織込んでいるからでは。
今のドル安、債券安(金利上昇)とは、「アメリカから投資資金が逃げている」ともいえる。リスクオンのドル安、と単純に片付けてよいのだろうか。