以前紹介した元ドイツ証券エコノミスト、現日銀審議委員の安達氏が、
コロナを機に物価が上がるかもしれない、と個人的見解を
静岡県金融経済懇談会における挨拶(6/2)、で述べている。
物価に対する日銀審議委員の指摘は傾聴に値する。
安達さんのことは審議委員就任時、当コラムで紹介した。
2020年01月29日 - おめでとう安達さん!(追記:返事来た!)
以下は日銀HPより講演原稿を抜粋。
『個人的には、今般の感染症を経験したことによるわが国の企業や家計の行動変容が、これまでの物価観を変える可能性に注目しています。感染症は、いつかは収束するとはいえ、ウイルスが完全に撲滅されることは想定しにくい状況です。ワクチンの効果が相応に期待できるとはいえ、感染症との共存を余儀なくされる状況においては、特に飲食・宿泊等の対面型サービス業で感染抑制に相応のコストをかけ続ける必要が生じる可能性があります。このほか、わが国における高齢化の進行を踏まえると、価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が個人消費全体を牽引していく可能性も考えられます。こうした高付加価値の財・サービスを提供できる人材の賃金は、自ずと高く設定されるのではないでしょうか。こうしたことを踏まえると、ポストコロナの局面は、サービス業にとって、質を見直しつつ対価を引き上げる機会になるかもしれないと考え始めています。』
さすがは安達さんだ。相変わらずキレている。
あくまで個人的見解として、可能性ではあるが、
物価の基調に変化があるかも、と審議委員になっても
結構大胆に面白い指摘をしている。
実際は、日本の強烈なデフレ圧力は半端ではなく、
これからインフレ時代が来ると叫んでいる私も、日本では
物価が本格的に上昇に転じるのは難しいと思っているが、
当然安達さんもそこは百も承知の上で、あえてこの指摘を
していると思われる。
もちろん物価2%目標を掲げる日銀の立場を、今審議委員の安達さんは
擁護する立場にあるためこうした考えを披露しているのかもしれないが、
それだけではない気がする。
コロナやSDGsを乗り越えるための正当な対価は、確かに
顧客に受け入れられやすい時代になるだろう。
例えば外食やホテルの値上げが通りやすい、ということだ。
コロナというのは、本当に我々の価値観を根本から変える出来事だ。
価値観が変われば、財・サービスの値段は簡単に大きく変わる。
価格、というものはある意味、人の価値観が決める相対的なものに過ぎない。
変わる時には簡単に変わり得る、ということだ。
安達さん、頑張って下さい!!応援してます。