2週にわたり消費者物価指数(CPI)、雇用統計と
米金利を占う重要指標が相次いで発表。
CPI年+5.0%、失業率5.8%へ改善、といずれも
インフレを警戒させる強い内容だったが、10年債金利は
逆に一旦大きく下落(図)。どういうことか。
推察されるのは、金利上昇にベットしていた投資家(投機家)の投げだ。
物価は上昇、雇用も改善したが、いずれも想定の範囲内かつ一時的で
インフレの高進を助長するほどの内容でなかったため、
金利をさらに上昇させる材料が今後期待できないとして、
金利上昇にベットしていた多くの債券投資家が、諦めて
大きなポジションを一斉に投げたためだろう。
思い出せば、年始に金利が急騰した際も、動きがあまりにも急だった。
彼らが金利を吊り上げていたのだろう。
債券市場もあり余るリスクマネーのせいで、近年は相当投機的な
値動きをする市場に変質している。値が振れ過ぎる傾向にある。
ファンダメンタル的には、インフレ圧力を示す統計数値は
昨年の反動と経済再開で目先高いものが発表されやすいが、
それが夏場に一巡した後も、実力値で徐々にインフレ基調を
示す展開になることは想定される。
強烈過ぎる財政刺激で、今後景気は特に米で過熱に向かう可能性が高いからだ。
米債券市場は、目先ポジション調整で振れが大きくなるものの、
いずれは経済再開と国債発行増の需給悪で、金利上昇へ向け
少しづつ、しかし着実に、動き出すのではないか。