実は、以前アナリストとして海運業界も担当したことがある。
海運会社の経営者は、肝が据わっている。変動に慣れている。
以前、同社芦田社長に感銘したのを思い出す。
強烈な市況変動の振幅、スピードの中で常に長期戦略を考え
的確なタイミング判断をせねばならないからだ。
今回のような市況高騰祭りは、10~20年に1回しか来ないので、
この機に船隊増強の戦略投資、財務体質改善、株主還元、
そしてM&AやTOBの機会をも窺うのだ。
今回のTOB、利益の出過ぎている今期、資金に余裕があり動けるときに、
という判断だろうが、さらに時代を読んだ優れたタイミング判断だと感心する。
つまり、インフレ時代を見越した判断、ということだ。
ダイビルと宇徳運輸、この2社を聞いて、ピンとくる人は相当詳しい。
実は、優良な資産内容かつ、不動産を保有する2企業なのだ。
MO(商船三井の別名)グループにおける虎の子企業だ。
ダイビルは不動産業界の中でも堅実さで非常に名高い。
業界トップ水準だ。
宇徳も優良な港湾不動産等を一部所有しており、PBRは0.6倍付近だった。
今後のインフレ時代を考えると、不動産投資は活性化しやすく、
相対的に安い日本の不動産は狙われやすい。
不動産目当てで優良企業を丸ごと買いに来るM&Aなどの
動きも今後さらに活発になる可能性は高い。
優良不動産を確実に自社保有とし外部からの攻勢から守り、
値上がりをエンジョイしようとする、非常に戦略的な企業行動だ。
企業行動に、時代が表れる。
その意義を考察することは大切。