当コラムでも、いずれスタグフレーションが来てしまうのでは?
との懸念を以前から伝えてきた。
もう一度言うが、スタグフレーションは株価には最悪だ。
物価が上昇する一方で景気が悪化する状態。
金利上昇と業績悪化のダブルパンチが市場を襲う最悪シナリオだ。
今回なんと世界銀行が、世界のGDP見通し引下げと同時に
市場に先んじる形で、今後「数年のスタグフレーション」か、と
異例の宣言をしたのだ。
ロイターによると、世銀のマルパス総裁は今回の発表の序文で
「現時点でスタグフレーションに陥る危険性はかなり高い」と記し、
ウクライナ侵攻が、コロナによる打撃に追い打ちをかけ、
多くの国にとって景気後退を避けるのが難しくなり、
低成長とインフレの高止まりが長期間続く局面に入る可能性があるとした。
世銀総裁から、このような具体的見通しを早期に聞く
ことはあまり無かったので、少々驚いた。
いやー、総裁その通りです、我が意を得たり、全く同感!
マーケットはまだ、ウクライナ侵攻の経済的影響を全然織り込んでいない。
経済は想定以上に厳しく、物価にはより上昇圧力が掛かっている。
OECDは、今年通年の世界38か国インフレ率を8.5%に修正(12月は4.2%だった)。
来年も6.0%に修正(同3.0%)。来年でも6%、全然下がらない。
半年で物価上昇率を一気に2倍にしている。
本当にこうなるなら、世界の中銀の利上げはこれからで、今後
さらに+3~5%も上げねばならないではないか。
このマルパス発言は私には、
「株価はスタグフレーションに伴い大きな調整は避けられず、
暴落もありうるので覚悟せよ」との世銀からの警告、に聞こえる。
FRB、ECBよりも、遥かにマルパス世銀総裁は当てになるように思える。
元、米財務次官。
財務長官イエレンは後追いで、かつ気休めを言いがち。
”インフレは一時的”、と間違えた張本人。
パウエル、ラガルドは、そもそも経済を分かってない、・・・
おっと、言い過ぎ?! 失礼しました。
なお、スタグフレーションとなれば、中央銀行は上手く対応できないだろう。
物価が収まらなかったら、株価・景気を見捨てても利上げを続けるしか、
中央銀行には手がない。
物価上昇とは、中央銀行にとって、何を犠牲にしても最優先で
取り組まねばならない最重要課題である。