米銀破綻のニュースに隠れ、あまり話題になっていないが、
先週は重大な発表に驚いた。
イスラム教スンニ派vsシーア派、で犬猿の仲、のはずの
サウジとイランが、米ではなく中国の仲介で国交を正常化した。
「え、米でなく中国が仲介?」
米が中ロ対応で徐々に中東での支配力を低下させているのは周知
だが、こうして正々堂々と中国に出し抜かれるとは!
そしてこの発表のすぐ後に、なんと中、ロ、イラン3国で
合同軍事演習が行われている。
核開発国、イランが中ロにまるめ込まれつつあるのだ!
以下、影響を整理する。ポイントは4つ。
1米外交の失敗、中東でのプレゼンス低下
米外交は対中対ロに集中し、中東は疎かだった。
中国にうまくスキを突かれた形だ。
2中国の、外交面目躍如+エネルギー確保への地歩
中国は米を出し抜いてイランを味方に付けた。
イランは原油の大生産国。14億を食わすため資源は
いくらでも欲しい中国にとっては朗報。
3日本の原油調達リスク増大 中国にイラン産原油を取られる?
一方で中国にイラン産原油を取られると困るのが我が国。
今は核開発問題もあり大きく依存してないが、以前は
日本の原油輸入国でイランは3位だった。
だから昔から日本はイランと比較的友好的に国交を維持してきた。
日本はいざという時、イランというカードはキープしておくべき
だが、このままではそのカードを中国に取られかねない!
4ロシアの南下策に光明か
私は地政学がよく分かってなかった。 地図を見た。
ロシアにとって、イランはカスピ海を隔てた隣国である。
ロシアの最大の国策、海に出る南下策、の3つ目のルートが
出来上がってしまう可能性があるのではないか。
第1ルートは東欧経由、これは戦争後はもう厳しい。
もう1つがウクライナ経由、クリミア半島から黒海へ。このために今戦争中だ。
3つ目がカスピ海を通りイランを抜けるルートだ。
3つ目は本当に可能かは分からないが、イランとロシアが
仲良くなれば、ペルシャ湾に出るルートが出来るかもしれない。
ロシアの命綱?となるかもしれない。
中国によるこの仲介は、とんでもない意味を持つ。
これは重大事件。米国、西側諸国、日本にとって、大きな失点だ。
中国はこうして巧みな外交で西側諸国のプレゼンスを崩しに来る。
我々は、押し返さなければ、中国にやられてしまう。
なんか、米中対立とロシア対ウクライナが、重なってきた。
資本主義対権威主義、の世界的対立の構図だ。