現在世界唯一の基軸通貨の地位を米ドルが享受している。
自国通貨の下落に苦しむ新興国、例えばトルコは、貿易相手国が
信用の無いトルコリラを受け取ってくれないので、トルコ企業は
リラを基軸通貨ドルに替えて取引する。
基軸通貨の信用力とは絶大で、だからFRBがあれだけ
量的緩和でドルをプリントしても、ドルは暴落せずに済んでいる。
また、アメリカが貿易で大赤字を出し続け、世界最大の債務国
となっているにも関わらずドルの価値が下がらないのも、
基軸通貨、世界通貨の地位と信用がドルにあるからだ。
この、世界の通貨覇権の地位を、中国が狙っている。
まず、①保有するドル(米国債)を少しづつ売り、金に換えている。
次いで、戦争で弱るロシア、また国交回復を仲介した
中東との原油取引でも元での決済を要求しているようだ。
②ロシアのLNGも含め、国家存続に不可欠なエネルギーの決済で
可能な限り元を基軸に決済するネットワークを世界に推し進めている。
③仮想通貨についても、マイニングを実質的に禁止しているとの噂もある。
デジタル人民元普及の障害になり兼ねないからだろう。
当然中国は、デジタル金融の世界も席巻する構えだ。
決済の利便性を、既存の仮想通貨から奪おうとしている。
中国に見切られた仮想通貨に未来は無い。
④さらに、西側の銀行決済システム、SWIFTに対抗し、
中国版SWIFTのCIPSをベースに、
ロシアやインド、ブラジル、トルコ、インドネシア、
そしてイラン等も元決済のグループに取り込もうとしている。
中国は、習近平の「我が国は私で強くなる」とのスローガンのもと、
トランプに貿易関税でやられた劣勢を跳ね返すべく軍備の急拡大に走り、
外交でも、国際協調の旗印のもと1対1外交で次々と
味方の国を増やし、いまや欧諸国に「中国詣で」をさせるほどだ。
中国は今、外交軍事の世界覇権を握るべく奔走し、
さらに通貨覇権を押さえにかかっている。
そしてそれに同調し仲間に入ろうとする国が多く存在する。
最終的に元がドルに代わり世界唯一の基軸通貨の地位を得ることはない。
財産権が最終的に保護されていない社会主義国の通貨が、世界唯一の
基軸通貨になることはない。
しかし、中国になびく国々の間では、
実質的に元が基軸通貨のように流通することはありうるだろう。
むろん、共産党のツルの一声で、元建て財産は全て党が没収、などの
事態は起こり得るのだが。
通貨覇権とは、強大な権力だ。
赤字もプリントマネーもごまかせる。
今中国が、アメリカのその地位を狙い猛攻を仕掛けている。
経済力、軍事力だけでなく、金融の世界でも、No1アメリカの
地位低下が顕著だ。
今は一見平気そうでも、何か1つのきっかけで、
・・そう先日のように銀行破たんが起きるとか、・・・
簡単に米市場は急変し、世界の認識も一変する。