インフレは収まらない、と再三強調している株メンターも”米市場を相当厳しくみている私より、遥かに厳しい!”と驚きを禁じ得ない。
世界の金融業界と金融市場に最も精通しているJPモルガン、ダイモンCEOは、半年近く前、5月22日の投資家説明会で「米10年債金利が今後、6~7%まで上昇する可能性に備えるべき」と述べている。(画:ダイモンCEO 日経)
そして足元、インド紙とのインタビューでは『 スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)が発生し、同時に米連邦準備制度のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が7%に達する「最悪のシナリオ」に対し、世界は準備ができていないかもしれない』とコメントしたそうだ。(9/26 bloombergより)
これは衝撃だ。
米景気が堅調と喧伝される足元でも、彼は全く油断していない。
1年前の6月、急速な利上げにより「ハリケーンがやってくる」
と有名なフレーズを発し、注意を呼び掛けてきた同氏は、
市場見通しも的確なことで知られる。世界の金融業界のリーダーだ。
市場は、来年は当然利下げ、その幅をFRBは当初1%と予定していたが
0.5%に変更されて、それだけでガッカリしているが、彼の考えは真逆。
まだまだ利上げが続く、ということだ。
そうなれば、当然米株は大暴落。
半値?いや、それでは済まないだろう。
彼はハリケーン宣言以降、全く警戒を解いていなかった。
「7%=超巨大ハリケーン!」だ。
インフレ抑制に向け、金利はさらに上昇する必要があり、
金融システムにストレスが生じるとみているようだ。
急激な利上げで経済に急ブレーキを掛けている現在、
足元堅調な米景気も早晩後退に向かう、ということか。
あるいはクレジットリスクが高まるとみているのか。
3月の米銀破綻で銀行の融資姿勢に大きな変化が生じ、
貸出は今も大幅に影響を受けているばずだ。
こんなに急激な利上げをしたら、貸し手の銀行より、
借り手の企業にまず大きな問題が生じるはずだ、と
私もかねてから主張してきた。
グローバルなクレジット市場にも世界一精通する人物が、
全くの見当違いを言うとも思えない。
「米金利7%」とは、大クラッシュを意味する。
これは、私が考える最も厳しいシナリオだ。
米のスタグフレーション、トリプル安だ。
ただ仮に現実になるとしても、まだまだ遥か先だと思っていた。
だが、ダイモンCEOはすでにリアルに想定している。
だから数値が7%、と具体的なのだ。
もし本当にそうなれば、アメリカの時代が終わるのではないか。
それはすなわち、人生の資産形成において、
資産分散で米ドル資産を保有していてはいけない、というほどの衝撃だ。
彼は今でも、厳しい見方を変えていない。